研究科長挨拶

アジア共同学位開発プロジェクトの発足に当たって

教育学研究科長  宮腰 英一 教育学研究科では平成23年度概算要求特別経費で申請した「東アジアにおける国際的教育指導者共同学位プログラムの開発研究」が採択され、平成23年4月から5年間にわたるプロジェクトを開始しました。
 このプロジェクトは、多文化共生社会における教育の質の改善や格差是正など国境を越えた東アジア地域に共通する課題に立ち向かう、広い視野と高度な専門的知識・能力、優れたコミュニケーション力や国際性を備えた世界のリーダー的人材の育成を目指しています。そのため東アジアの有力大学と連携・協力して修士レベルの優れた教育課程や教育内容・方法・教材を開発し、国際的に魅力ある共同学位プログラムを創設し、本学の学生と東アジア諸国の学生の双方向的な交流を推進します。
 5ヶ年計画のうち最初の3ヶ年は、共同学位に関する国内外の調査研究及び制度設計、並びに教員・学生の交流を促進し、最後の2ヶ年でパイロット・プログラムを実施する予定です。そして創設された共同学位の成果及び運用のノウハウを教育学系の他大学へ普及拡大を図ると共に、教育学以外の他の研究領域への応用可能性も念頭に置いて取り組んで行く所存です。
 本プログラムは修士の共同学位を構想しています。この2ヶ年間を日本の大学のみならず、韓国、中国あるいは台湾の大学など、文化・言語・宗教の異なる生活空間で他国の学生と共に学びます。このなかで切磋琢磨して、自らの心身を鍛え、対立や葛藤、協調を経験しながら互いに敬愛し、アジアの共通課題に立ち向かう国際的リーダーとして育って行くことを期待しています。こうしたリーダー的人材は、教育学の基礎的専門的知識・技能を修得した学士課程の基礎の上に、あるいは博士後期課程における高度に細分化専門化された課程とは異なり、修士2年課程においてこそ育成されうるものです。これが本プログラムの「隠れたカリキュラム」でもあります。
 3・11東日本大震災の影響でスタートがやや遅れましたが、4月以降、事務職員、専任教員あるいは客員教員を徐々に配置して、プロジェクトの運営及び実施体制を整えてきました。試行錯誤の毎日ですが、今後目標の達成に向けて数々の課題を乗り越えて行かなければなりません。本プロジェクトの遂行におきまして、どうか皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

教育学研究科長  宮腰 英一