教育関係者の皆様へ
「東北大学は理論的研究ばかりで、教育現場とは縁が薄いのではないか」と、誤解されていらっしゃる先生方も多いと思います。これについては、本ホームページの「東北大学教育学部への進学を検討している方へ」の項目をご覧いただければ、「東北大学教育学部は意外に実践向きだ」と納得されることでしょう。
私自身、教科教育学、すなわち「現場での授業実践をどのように行うのか」について博士号を修得した数少ない研究者の一人ですし、中学校での非常勤講師の経験や、教員養成系大学で教えた経験などもございます。現在も、いくつかの学校で、学力向上に向けた実際の授業やテストの開発、中高生に対しての参加型授業の実践、子どもたちに向けた講演会も行っています。われわれ教育学系の研究者は、学校現場での営みを真実とし、学校教育の専門家としての先生方とは異なる立場の専門家として協力し、研究成果を明日の学校現場に還元する立場のものだと思っています。そのような立場の者として、先生方と協力し合うことは、職業上の喜びであります。
また、近年は、大学が地域の先生方との協力促進を勧めています。どうぞ、さまざまな機会に先生方との協力ができるよう、お問い合わせください。
2010年度における学校との連携に関する具体例
- 都内私立H中・高等学校との授業開発
今年も、都内の私立中・高等学校と授業開発およびテスト開発の共同作業をはじめました。1年間かけてどのように学力を向上させるのか?毎日の授業の提供と、それにあわせたテスト問題の提供を通じて、子どもたちの学力を飛躍的に伸ばす実践的な研究です。
- 仙台市立八木山中学校
6月10日に仙台市立八木山中学校で、先生方を前に模擬授業をしました。普通の年間計画の、普通の授業の中で提案を行っていくのは難しいですが、あくまで「研究のための実験」ではなく「生徒と学校が主役」ですから、通常の学校の指導計画を極力乱さずに、授業力向上の具体的な提案を行いました。八木山中学校とは、1年間かけて授業力向上の提案を行っていく予定です。
- 秋田県立秋田高等学校
6月23日に秋田県立秋田高等学校で、1年生を対象に出前授業を行いました。また、2・3年生を対象に「間違いだらけの受験勉強」として、今、教育政策でどのような学力が求められているか、大学はどのような学力を必要としているか?このような学力観の変化から見たら、みなさんの受験勉強はどう変わりうるのか?ということを、具体的なテストや入試問題の傾向を示しながら話しました。秋田高等学校とは、今年度中にもう一度、学力向上について講演する予定です。
- 盛岡大学附属高等学校
6月26日に盛岡大学附属高等学校では、特進クラスの生徒さんたちと保護者のみなさんを前に、お話をいたしました。現在の教育政策を世界の流れから位置づけた上で、文部科学省の提示した具体的なテスト問題や、上記の私立中学校で使用したテスト問題を解いてもらいながら解説いたしました。といっても、いろいろなアクティビティを取り入れた楽しい講演会です。学力向上の具体的な授業やテスト問題を経験したみなさんは、「こんなに高度な問題まで解けるようになるのか!」と驚きの様子でした。
→問合せ先:東北大学大学院教育学研究科庶務係 022-795-6103